田上碧「まるごと呼ぶよ」

CD

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遠くへ大きい声を出す時、体に「声のこっち側の端っこ」という感覚があります。小さい声の時もある感覚ですが、大きい声の時の方がよくわかります。

わたしはこの感覚を、なるべくしっかり捕まえておきたいと思っています。なにかを強く外へ明らかにしていている時も、同時に、自分のすぐ近くにある秘密のようなものを、しっかりとこちらに保っていたいのです。

もうひとつわたしにとって大事なのは、「呼ぶことでわかる」ということです。目の前の現実に言葉を割く時、その言葉を、実際に声に出して呼んだり、歌や大きい声にのせたりすれば、みんなが知っているみんなの言葉じゃなくて、自分の声で、わかることができると思っています。

声に出すと、たとえばその場所の音の響きがわかったり、隠れていたダジャレがみつかったりします。思わぬところで意外な単語が自分の口から出てきて、でも妙にしっくりきたりします。自分の体と目の前の現実が、自分にしかできない少し愉快なやりかたで関係する瞬間です。

このCDには、極端な大声も小声も、その「こっち側の端っこ」も、その場に居合わせた誰かや何かの音も、全部まるごと、声を出していたわたしに聞こえたものに一番近い音で録音・収録されています。そして、わたしの体と声が、現実に出会って、言葉を出して、わかろうとした挑戦の集まりでもあります。

口から、外へ、出るに任せた声で呼んでみる。

わたしにとってはこれが、自分の内と外を、一瞬だけど一番、まるごと確かにつないでくれる方法です。

田上碧によるパフォーマンス

魔法瓶による、田上碧のCD「まるごと呼ぶよ」のための公開収録

まるごと呼ぶよ

「そこから全部は聴こえない歌」

archive
2017.5.7

ビルの間のちょうど

バイノーラル

リーチ

車の速さで通り過ぎる景色や音、
そこから連想したものをもとに言葉を出し、その出るに任せて歌いました

バイノーラル

田上碧

1994年 兵庫県生まれ

自身の声と言葉を使い、「歌」を探求している。
2014年頃より、野外から劇場空間まで、幅広い場でソロパフォーマンスを行なう。
生身の体から出る歌声と言葉を通して、人は現実の音響空間や体のあり方を捉えなおせると考え、実践している。
目の前の現実のための「歌」である。

また、ミュージシャン、アーティスト、劇作家、ダンサーなど、多くのジャンルの作家と共同制作を行う。

Aoi Tagami, born 27/Feb/1994 in Hyogo Prefecture,Japan, is an singer/artist.

Aoi uses her own voice and words to explore “Songs”. She holds solo performance in a wide variety of venues, from the outdoors to conventional spaces such as theaters and galleries.
Using only her body as an instrument to create an alienating effect within the soundscape, Aoi’s work invites the audience to re-evaluate the relation of the body, and the space in which it stand.

She collaborates with many artists, varying from musicians, fine artists, playwrights and dancers.